2007年08月06日

映画篇なセファリック

4087753808映画篇
金城 一紀
集英社 2007-07



4103051515対話篇
金城 一紀
新潮社 2007-07




先日軽く触れた、金城一紀の「映画篇」の感想です。

金城一紀の過去の作品に「対話篇」というのがあって、それがすんばらしくいい作品なので、似たような匂いに惹かれて買ってしまったわけです。

ちなみにその「対話篇」はこの「映画篇」の刊行に合わせて新版がでています。
相乗効果で売り上げを伸ばそうというえげつない思惑がミエミエです。
しかも、出版しているのが「映画篇」は集英社、「対話篇」が新潮社と、出版社を超えての戦略だというのがさらにえげつないところです。
そんなミエミエのえげつない手に乗る人なんかいるか!と思った小生なのですが、ちょっとだけと思って「対話篇」を立ち読みしてしまったのが間違いの始まりでした。
読んでしまうと欲しくなります。
やっぱり手元に置いておきたくなる作品なのです。
「くっそー」とか「この商売上手め!」とか出版社に対する呪詛の言葉を吐き散らかしながら、結局「映画篇」と「対話篇」の2冊を持ってレジに向かった小生なのでした。

そんなことはともかく、今回は「映画篇」です。
結論から言うと、「対話篇」に負けずとも劣らないとてもいい作品でした。
実は、読み始めの印象はあまりいいものではありませんでした。
決して面白くないわけではないのですが、「対話篇」の一発目の『恋愛小説』がものすごくいい話であるのに対して、若干インパクトが弱い感じがしたのです。
その印象は4作品目の『ペイルライダー』まで続きました。
これははずれだったかなぁと思ったのですが、最後の『愛の泉』で大逆転が起こりました。
それまでの4つの作品を踏まえたうえでの〆の作品。
『愛の泉』それだけでも感動的で十分いい作品なのですが、それまでの4つの作品がその土台となってさらに感動的になっています。
あんまり書きすぎるとネタバレになってしまうので書きませんが、うまい構成でした。

ちなみにこの『愛の泉』は、「対話篇」に収録されている『花』に出てきた鳥越家のお話です。
『花』の登場人物である鳥越弘氏のお兄さんの奥さんとその孫達が主人公です。
弘氏は出てきませんが、『花』が好きな人は必読です。
『花」でもそうでしたが、この作品でも主人公の前で女の子がこけます。
それにしても鳥越家の面々の前では女の子がよくこけます。
「準備のできていない人の前では好きな女の子は転ばないのではないのではないだろうか」と作中で主人公は言っているのですが、いいこと言います。
鳥越家の人々はほんとにいいです。
僕もそんな準備のできた人間になりたいものです。

あと、鳥越家の孫達の1人である「ケン坊」のキャラクターが、金城一紀の作品の「ザ・ゾンビーズ」シリーズに出てくる「山下」っぽくていい味出してました。
「アホの子」という響きはとてもいいですね。

それにしても、金城一紀の作品を読むとブルース・リーの映画を無性にみたくなります。
明日にでも借りてこようかなー。
posted by Aorta at 23:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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