2006年07月18日

セファリックは夜と遊ぶ

4061824295子どもたちは夜と遊ぶ(上)
辻村 深月
講談社 2005-05-10




4061824309子どもたちは夜と遊ぶ(下)
辻村 深月
講談社 2005-05-10




内容(「BOOK」データベースより)
優しく触れようとしても壊してしまう、大人になりきれない子どもたちは、暗い恋の闇路へと迷い込んでしまった…。同じ大学に通う仲間、浅葱と狐塚、月子と恭司。彼らを取り巻く一方通行の片想いの歯車は、思わぬ連続殺人事件と絡まり、悲しくも残酷な方向へと狂い始める。掛け違えた恋のボタンと、絶望の淵に蹲る殺人鬼の影には、どんな結末が待っているのか。(以上上巻)
もう、一人の夜には帰りたくない―。残虐非道な事件に潜む、孤独な殺人鬼と彼を操る共犯者の存在。罪の意識に苛まれながらも、二人の間で繰り返される恐ろしい殺人という名の遊びは、一体いつまで続くのか!?そして傷つけずには愛せない、歪で悲しい恋の行方の結末とは…。辛い過去を孕んだ事件の真相は少しずつ解き明かされ、漆黒の闇を照らしていく。(以上下巻)


まず初めにはっきり言います。
小生はこの作品大嫌いです。
大嫌いな理由はいろいろありますが、それはまた追々書きましょう。

ただ、何事にも大嫌いとは言っても、すごいものだと認めざるをえないものもあります。
この作品もそうでした。
頭の中では、くそー、こんな作品小生は認めん!と思いながらもページをめくる手は止まらないみたいな。
まったくもって許せません。
やらなければいけないことを放っといて、上下巻を1日で読んでしまいました。
まったくもって自分も許せません。

まぁ、そんなことはいいのです。
結局何が言いたいのかと言うと、この作品は、大嫌いだと公言してはばからない小生でさえ評価するほどのすごい作品だと言う事です。

まぁ、何がすごいのかと聞かれるとちょっと困りますが。
敢えて挙げるなら、やはり心理描写なのでしょうか。

舞台は大学です。
物語の中心にいるのは狐塚と言う工学部の秀才学生なのですが、彼を中心に登場人物の糸が縦糸横糸からまり、まぁ事件が起きるわけですね。
とは言っても、物語の主人公というかトラブルメーカーは微妙に狐塚ではなく、彼はほんとに登場人物の中心に立ってるだけなんですよ。
で、彼を中心に登場する人物が皆よく描かれています。
物語において重要な役を果たす人から、それなりの役を果たすだけの人までいろいろいますが、その役の大小に関わらず、その人物の内面が良く描かれていて、またそれがうまく物語の進行に関わってくるのです。
その辺りの技術は本当にうまかったです。

あと、うまかったと言えば下巻の中盤からラストに至る前くらいまでのストーリーの展開もうまかったです。
そう来るかっ、ってな感じで、えげつないくらいうまかったです。

とまぁ、ほめるのはここくらいまでにして、あとは嫌いな理由を滔滔と述べましょう。

この嫌いな理由の部分には微妙に小さなネタバレが無きにしも非ずなので読みたくない人は読まないでおきましょう。
以下空白をしばらく空けておきます。
















まず、上記のえげつないくらいのうまさに大いに関係あるんですが、作中にでっかい叙述トリックがあるんですね。
小生、基本的に叙述トリックは許せます。
「GOTH」だとか「葉桜の季節に君を想うということ」とか叙述トリックがメインの話も好きです。
騙されるのは嫌いじゃありません。
ただ、今回の叙述トリックはいただけません。
もうこれは叙述トリックと言うよりウソです。詐欺です。
気づいたときはあまりの怒りと言うか悔しさに布団をバンバンはたいてしまいました。
まぁ、その怒りの半分は作品に、もう半分は気づけなかった自分に、ですけど。
途中何度か不審に思ったことがあったのですが、まさか叙述トリックが仕掛けられているとは露ほども思っていなかったので深く気に留めませんでした。
うーん、やっぱり小生もまだまだ甘いです。

あと嫌いな理由としては、謎の収拾の仕方です。
最後まで引っ張った謎のオチがうまくなかったですね。
これはミステリーとしては致命的です。
いろいろ引っ張って気を持たせたのに、それが明かされる頃にはその謎の重要性は薄れていて、結局あとづけの理由みたいなものしか語られない。
小生にはいただけいませんでした。
とは言え、一応伏線も張られてたし、悪くないレベルなのかもしれませんが。
何と言っても叙述トリックのインパクトが大きすぎましたね。

あと、ストーリーの中だるみ。
上巻の途中くらいで話が中だるみしちゃって読むスピードが遅くなってしまいました。
まぁ、中だるみはこの作者さんの特徴みたいですけど。
もうちょっとしまった話にすることも出来なくはないんじゃないのかなという気もします。

その他もろもろツッコミどころが多かったです。
ただ、何度も書いているように、それを補ってあまりあるすごさがこの作品にはありました。
読んでみて損はないとは思います。

ただ、読むときはミステリーとしては読まないほうがいいと小生は思います。
posted by Aorta at 18:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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