2006年02月09日

白夜を行くセファリックその5

白夜行第5話の感想記事です。

今回はかなり激しい展開でしたね。
そう来るか〜と思う場面が何回もありました。
と言うことで、書きたいこともいっぱいあってまとめるのが難しそうです。
読んでくれる人がいれば、かなりの長期戦を覚悟してください。

何から書き始めるかが難しいのですが、まずは川島江利子から始めましょう。
先週のラストの雨の場面のいい感じのフリはほぼスルーされて、いきなり江利子と篠塚は付き合い始めてましたね。
江利子はいつの間にか変身してきれいになってるし。
原作では、雨の場面で篠塚が江利子を拾ってから付き合い始めるまでにそれなりのエピソードがあります。
そのエピソードとは、簡単に言ってしまえば江利子のシンデレラストーリーです。
江利子の素材のよさに気づいた篠塚が江利子を美容院やブティックに連れて行ってきれいに変身させるのです。
小生は、このエピソードは白夜行中最もいいエピソードだと思います。
幸せな話がほとんどない白夜行の中で、珍しく幸せな空気が流れているエピソードです。
ただここで幸せを味わわせるだけ味わわせておいて、その後の事件でストーンと落とすわけですから落差はかなりのものです。
落差としてもこのエピソードが白夜行中最大ではないでしょうか。
つまり、全体としてこの部分は白夜行中最もいい話であると同時に、白夜行中最も悲惨な話でもあるのです。
そこらへんもドラマではうまく描いて欲しかったのですが、見事に割愛されてましたね。
まぁ、大体が主人公2人の視点で描かれているので余計なエピソードなのかもしれませんが。

その代わりとして、雨宿りの妊婦さんのエピソードが描かれていましたね。
なかなかいい演出だと思います。
雪穂が江利子を襲わせる理由にもつながっていますし。
うまくまとまっていると思います。

ただ、小生にはこの雪穂が江利子を襲わせる理由もしっくり来ません。
先週の感じだと、自分が好きになった篠塚が江利子を好きになったから邪魔者は消す的な感じで襲わせるのかと思っていました。
はっきり言って今の雪穂だとそれはいくらなんでも無理があるんじゃないかと思っていましたが、まったく違うところから攻めて来ましたね。
「その娘を不幸にして欲しい」「幸せな環境で幸せに育って性格がいいだけで選ばれる」「自分の幸せを自覚できないほど幸せなんて不公平」
まぁ、平たく言えば環境の違いで向こうが幸せで自分が不幸なんて不公平だから向こうも不幸にしてやれ、ということですね。
今までのドラマの展開、雪穂の境遇、雪穂の性格を考えればこれは至極納得できる論理です。
だからドラマの展開としては決して悪くなく、むしろ江利子の性格のよさを妊婦さんのエピソードでこれでもかと提示して、雪穂の決心を導く辺りは秀逸だと思います。

ただ、小生の中にはやっぱり原作が大きな存在としてあります。
そして、その大きな存在を通しての雪穂像がやっぱりあるわけで、ドラマの雪穂とはどうもしっくりときません。
確かに、雪穂の生きる目的はさまざまなものへの復讐、もっと平たく言えば不公平を正すことにあると思います。
ただ、そのためにどうするかといえば、他人を不幸にしてバランスをとるわけではないと思うのです。
雪穂はそんなに後ろ向きではありません。
むしろ恐ろしいほどの前向きのパワーを持った人間だと小生は思います。
確かに彼女と亮司は多くの人を不幸にしたと思います。
ただ、それは目的では決してなかったと小生は思うのです。
それは常に手段なのです。
自分達が前に進むための手段、悪い言い方をすれば踏み台として彼女達は他人を不幸にしてきたのだと思います。
はっきり言って、雪穂たちにとっては他人は道具でしかなく、別に幸せであろうが不幸であろうが関係ないと思うのです。
すべては自分達が、むしろ自分達というよりは雪穂にとっても亮司にとっても雪穂だけかもしれませんが、前に進めればそれでいいのではないでしょうか。
彼女達にはそんな強さがあるような気が小生にはしていたのだと思います。
だから、他人を不幸にすることでバランスをとろうとしている雪穂がどうもしっくり来なかったんだと思います。

小生の中では、雪穂が江利子を襲わせる理由としては「邪魔だから」だけで十分なのです。
雪穂にとってみれば、将来に備えて手持ちのカードは多いに越したことはありません。
もちろん「篠塚一成」というカードも持っておきたいでしょう。
しかし、そのカードが江利子によって取られて、しかも篠塚によってきれいになった江利子に他のカード、端的に言えば「高宮誠」ですが、まで移りそうになれば・・・。
やることは江利子の排除しかありません。
ここで重要なのは性格ではなくむしろ外見です。
今までは地味な存在として、いわば雪穂の影として一緒にすごしてきた江利子が、一気に輝きだして表舞台に立って自分の存在を脅かそうとしているのです。
雪穂としては邪魔以外の何者でもないでしょう。
これは、江利子が襲われた後、雪穂をメッセンジャーとして篠塚一成に伝えたメッセージからも読み取ることができます。
「楽しかったです。今までありがとうございました。」
このメッセージは、単純に付き合ってくれた事に対する感謝のメッセージではないのです。
「今まで雪穂の影の存在として地味に過ごしてきた自分を、きれいに変身させてくれて表舞台に連れ出してくれてありがとうございました。短い夢だったけど、とても楽しかったです。でもやはり自分には地味にすごしていく方が似合っています。もう私のことは気にしないでください。」
とまぁ、こんな感じのメッセージなのです。
原作ではその夢の部分が詳細に描かれているので、ここまで読み取ることができるのですが、ドラマだと外見的なこと、江利子の内面的なことはまったく描かれていないので表面的に受け取ることしかできません。
何かもったいないような気がします。

とまぁ、江利子関係のことはこんな感じでしょうか。
無駄に長すぎです。
しかも、後半部分はたぶん原作読んでないと何のことかさっぱりわからないのではないでしょうか。
ここまで付き合ってくれた人は本当にありがとうございます。
ということで、白夜行第5話の記事第1弾はこのあたりで終わりにします。
たぶん第2弾に続きます。

参考までに過去の記事を
「白夜を行くセファリック」
「白夜を行くセファリックその2」
「白夜を行くセファリックその2の2」
「白夜を行くセファリックその3」
「白夜を行くセファリックその3の2」
「白夜を行くセファリックその3の3」
「白夜を行くセファリックその4」
「白夜を行くセファリックその4の2」
posted by Aorta at 23:01| Comment(2) | TrackBack(2) | テレビ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「楽しかったです。今までありがとう」という言葉から、そこまで読み取るとは・・・。さすがですね。なるほど〜と唸ってしまいました。
私もあの、妊婦さんのエピソードはとてもいいと思うのですが、やっぱり篠原と恋人同士になる過程があまり描かれていないせいか、江利子の印象が薄いような気がします。まあ、雪穂が、自分の友人にあんなことしたということだけで十分なインパクトはあるんですけど。雪穂の動機についても、ドラマ版としてはオッケーじゃないかと思います。
原作を読んだ頃の私の感想としては、そもそも、雪穂がソシアルダンス部に入ったのは篠原製薬の御曹司と出会うための計算だったが、彼は自分ではなく友人の江利子に惹かれていた。雪穂はこのままでは計画が壊れそうになる(江利子が邪魔)とともに、自分の存在を否定された気がした。初めての嫉妬・・・。まあ、ドラマ版とAortaさんの意見と混ぜた感じかな。
それよりも、また出ましたね。亮司の優柔不断。お、強くなったなあ・・・と思ったらすぐ弱気になるし・・・。最後のほうで「最終的には自分で決めたことでしょう」と言われていたけど、その通りだとしかいいようがない。というか、原作の亮司は、もしかしたら雪穂に利用されているかもしれないとわかった上で彼女の影になって生きることを選んだのだと思っていました。ドラマ版の亮司は常に見返りを求めていて、このドラマのコンセプト「純愛」を表現できているのか?と疑問。東野的純愛ってこんな物じゃないですよねえ。
長文になり申し訳ありません。
Posted by まるまろん at 2006年02月10日 20:37
こんにちは。長文のコメントありがとうございます。
いろいろ書いてくださって、小生も励みになります。
「純愛」の表現には小生も悩むところです。
そもそも、原作の『白夜行』自体が純愛を描いているのかも小生にはわかりません。
東野先生はただ単純に自分の理想の女性を描いただけのような気もします。
そしてそれを引き立たせるための存在が亮司なような気がします。
この傾向は『幻夜』の方でより顕著だと思いますが。
東野先生の他の作品で言えば、『容疑者xの献身』や『秘密』なんかの愛は多少アクロバティックとは言え、多くの人に受け入れられるものだと思いますが、『白夜行』の二人の愛は(もし愛と呼べるのだとしたらですが)、一般的に受け入れられる愛では決してないと思います。
それをドラマとして「純愛」にしようと言うのですから、少し難しいのかもしれません。
とにかく、今後に期待です。
Posted by aorta@管理人 at 2006年02月10日 23:54
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Excerpt:  第5話{/star/}{/star/}{/star/}{/star/}  何か亮司が変だよー{/hiyo_cry1/}それよりも柏原君、雪穂の友達と良い感じなの{/eq_1/}{/hiyob_hat..
Weblog: 私の趣味日記
Tracked: 2006-02-10 10:53

白夜行第5話
Excerpt: 雪穂が怖すぎるです。 幸せな江利子を妬んでそして江利子を幸せな状態から落としてやりたくて亮司に強姦を頼む雪穂。 あの時ばかりは完全に殺人者の顔になっていましたね。 雪穂はいろんな感情..
Weblog: 暇死人間ボヤキ日記
Tracked: 2006-02-10 15:21
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