2006年08月15日

LOVE & セファリック

4396632533LOVE
古川 日出男
祥伝社 2005-09




内容(「MARC」データベースより)
あたしたちは全員同じだ、でも、あたしたちは全員、違うのかもしれない。現代なんて三月後には消費されて、東京の記憶から消されるんだろうな-。都市とそこで生きるものたちの喪失と再生を鮮やかにきりとった青春群像小説。


おもろい、それもべらぼうにおもろい。
と、小生は思ったのですが、世間の評判はそれほど高くないようですね。

まぁ、確かに「ベルカ、吼えないのか?」の方が話(ストーリー)としてはよく出来ていて面白かったですよ。
でもね、小生はこの「LOVE」の方が古川日出男の可能性を端的に表しているような気がするのです。

そう思わせるのは、この作品の文体。
文体でここまで読まされるのは舞城王太郎くらいですよ。
古川日出男と舞城王太郎、この2人は絶対歴史に残る作家になると小生は勝手に思いました。

舞城王太郎の文体は、ひたすらわき目も振らずに駆け抜けていく短距離ランナーみたいな感じです。
もしくは夜中に爆音を響かせて走り去っていく暴走族。
パワーで読ませます。

一方の古川日出男の文体は、ずばり音楽だと思うのです。
パワーの舞城に対して、古川日出男はテンポ。
ついつい引き込まれてページがどんどんめくられていきます。
何気なくBGMで流れていたのに、ちょっと聞いてみたらめっちゃかっこよくて耳から離れなくなった、みたいな感じです。
例えて言うなら、めっちゃかっこいい洋楽ロック。
なに言ってるのかわかんなくても、聞いてるだけで体が勝手に動き出すみたいな。
2篇目の「ブルー/ブルース」を読んでるときは、ほんとにそんな感じでした。
内容が取り立ててすごいわけではないんだけど、ページをめくる手はどうにも止まりませんでした。
究極的には音楽に詞なんか関係ないんですよ。
何を歌っても、伝えたいことは伝わるんです。
この作品も同じ。
たぶん、この作品がそこら辺のおじいさんの平凡な老後の1日を描いたものでも、この文体なら小生は引き込まれて読みますよ。

この感じは、最近で言うと、アジカンのナノムゲンフェスのコンピを試聴していて、DREAM STATEの「CHANGE」にぶちあたったときと同じ感触です。
うぉー、こいつはすげぇ。それしか言葉が出てこない。小生の頭は退化してしまったのだろうか。いやいや、何か思い出してみよう。いい国つくろう鎌倉幕府、なんときれいな平城京。。うんまだまだ大丈夫。みたいな感じです。

なんか変なテンションのせいで、言いたいことの半分も言えず、たぶん伝えたいことの3分の1もこれを読んでいる人には伝わっていないでしょう。
という事で、騙されたと思って「LOVE」の「ブルー/ブルース」だけでも読め。
たぶん6割がたの人は、「騙された。意味分からん」とつぶやくでしょうが、そんなことは知りません。
これに感応する4割の人に小生はこの本を読んで欲しいのです。
多数決の原理なんかクソくらえ。
民主主義なんて嘘っぱちだ。
と、小生は思いましたとさ。
ラベル:読書
posted by Aorta at 15:57| Comment(0) | TrackBack(1) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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