2006年07月28日

すべてがセファリックになる

4062639246すべてがFになる―THE PERFECT INSIDER
森 博嗣
講談社 1998-12




おなじみの内容紹介は諸事情により割愛。
詳しくは本分参照のこと。


あらすじっていうのはどうにかならないもんなんですかねぇ。

小生、人に誇れるほどではないですが、ミステリと呼ばれるジャンルの本をそれなりに読んできました。
数をそれなりにこなせばやっぱりパターンと言うのは見えてくるもので、その謎の仕掛けられた「論理」などは分からなくても、「結果」だけは見えることがたまにあるんですよ。
今回もそのパターンでした。

本文を読みながら途中で気づく、というのならまだマシなんですが、今回は背表紙のあらすじだけで、途中の論理はすっ飛ばしてトリックと犯人が分かってしまいました。
トリックと犯人が分かってしまえば途中の論理も大体想像できるわけで、これはほんとに興ざめです。
小生は、ミステリを読むときは自分も謎を解決しながら読むのではなく、騙されながら読むのが楽しみなので、途中で分かってしまうのはあんまりうれしくないのです。

しかも、この作品の探偵役である主人公の性格が、「行為」のみに興味があって動機や背景にはあまり気を払わないというものだったので、作中で重要視されている部分は大体読む前に分かってしまうと言う何とも悲惨な感じの読書でした。

本を選ぶという過程で、やっぱりあらすじはなくてはならないものだと思うので、あらすじを無くせとはいえないんですが、やっぱりミステリのあらすじはちょっと気をつけて書いて欲しいなと思いました。

まぁ、あらすじについてのグチはこれくらいにしておいて、肝心の内容についての感想を書きましょう。

すったもんだはありましたが、面白かったです。
小生、何を読んだかは忘れたのですが、昔に森博嗣の作品を1作品だけ読んで、何かよくわからないことを書く作家だなぁと思ってそれ以来読んだことなかったのですが、少し後悔しました。
理系の作家さんらしく、「文章に」と言うよりは「セリフに」そして「トリックに」その信条とか哲学が表現されていて面白く読めました。

登場人物とか、舞台設定とかを読むと、「あぁ、これが西尾維新の原点なんだな」と言うことがよくわかります。
「孤島」、「天才」、「奇人」・・・いろいろなキーワードがあげられます。
ただ、森博嗣と西尾維新で違うのは、天才や奇人の集団に大学の助教授と言う同類項を放り込んだ森博嗣に対して、西尾維新はまったく異次元の存在である「戯言使い」を放り込んだことですね。
この「全てがFになる」を読むと、天才とか奇人の集団の中に敢えて「戯言使い」を放り込んだ西尾維新という作家はすごいと言うのがよくわかります。
作品としての完成度は圧倒的に「すべてがFになる」の方が高いと思いますけどね。

あらすじのせいで悲惨な読書になってしまった本書ですが、いい作品であったとはおもいます。
もっと森博嗣を読んでみようと思いました。
posted by Aorta at 00:10| Comment(1) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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