2006年07月26日

平面いぬなセファリック

4087475905平面いぬ。
乙一
集英社 2003-06




内容(「BOOK」データベースより)
「わたしは腕に犬を飼っている―」ちょっとした気まぐれから、謎の中国人彫師に彫ってもらった犬の刺青。「ポッキー」と名づけたその刺青がある日突然、動き出し…。肌に棲む犬と少女の不思議な共同生活を描く表題作ほか、その目を見た者を、石に変えてしまうという魔物の伝承を巡る怪異譚「石ノ目」など、天才・乙一のファンタジー・ホラー四編を収録する傑作短編集。


なぜかめぐり合わせが悪く、乙一でもこの作品は読んでいませんでした。
読もうと思ったときになぜか本屋になかったんですよね。
他の乙一の集英社の作品が平台にうずたかく積まれているのに、なぜか平面いぬ。は棚にも一冊もないということがよくありました。
あと、乙一の作品で読んでいないといえば「暗黒童話」
これは巡り会わせというよりは内容の問題ですね。
なーんとなく手が伸びにくい内容なので読んでません。

で、やっと読めた「平面いぬ。」ですが、乙一の第一の転機と言える作品ですね。
ちなみに第2の転機は「GOTH」だと思います。

内容紹介では、ファンタジー・ホラー4編とありますが、この作品はホラー色は「石の目」にちょっとあるだけで、むしろその後の作品によく見られる「せつなさ」的な要素が大きかったですね。

「石の目」はホラーとミステリ的手法を使ってうまくまとめていて、まさに前期(平面いぬ。まで)乙一と中期(「GOTH」まで)乙一の橋渡し的作品です。
「はじめ」は乙一らしい作品。
今の乙一だったらもうちょっとうまくかけるんじゃないかなと思う部分もありましたが、透明感があっていい作品です。
読後感はいちばんいいんじゃないかなと思います。
「BLUE」は乙一にしてはちょっと珍しい作品です。
不思議な布で作られた5体の動く人形の話で、そのうち余りの布で作られた出来損ないの「BLUE」という人形が主人公です。
買われていった家で他の人形がとても大切にされる中で、BLUEだけは出来損ないなので、大切にされず・・・、というお話です。
周りとうまくやっていけない主人公は乙一の作品によく出てきます。
「Calling You」だとか「しあわせは子猫のかたち」だとか「暗いところで待ち合わせ」の主人公がその典型です。
ただ、この作品のBLUEは同じような境遇にいながらそれらの主人公とは根本的に違います。
BLUEは究極的にポジティブなのです。
そのポジティブさによって傷つくこともありながらそれでもBLUEはポジティブです。
いつもの乙一の主人公は傷つくことを恐れて究極的にネガティブになっているんですが、真反対です。
あまり書きすぎるとネタバレになってしまうのでこれくらいでやめておきますが、いつもの乙一の作品をいろんな意味で逆から眺めた作品だといえる点で、珍しい作品です。
「平面いぬ。」は随所に乙一のユーモアのセンスが散りばめられていておもしろかったです。
ストーリー運びはさほど目新しいわけではありませんが、特殊な道具を使って主人公の心情を描き出して読む人の心を揺さぶる作品でした。
やっぱりこれも乙一らしいと形容するしかないのかなという感じです。

全体的に見ても、やっぱり乙一らしい作品集でした。
それにしても「乙一らしい」ってのは便利な言葉です。
読んでるほうはさっぱり分からないかもしれませんが、書いてるほうにとってはこれほどしっくりくる言葉もなかなかありません。
ラベル:読書
posted by Aorta at 13:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

帰ってきたセファリック

ふー、祖父母の家から無事帰還しました。

無事帰還というのも大袈裟な表現だと思われそうですが、いきなりギンギンに冷えた大玉のスイカ半分くらい食べさせられてお腹がグルグル魔人になりかけたり、胃が破裂しそうなほどご飯を食べさせられたり、自家栽培のゴーヤのあまりの苦さにもだえたり、歯が1本しか残っていないじーちゃんが必死にとうもろこしにかじりついているのを見て笑い死にしそうになったり、その表現が適当だと思えるほど波乱万丈な数日間でした。

ただ、当初の目的どおり本は結構たくさん読めたので良かったです。
またのんびり感想でも書きたいと思います。

それにしても、やっぱり田舎はいいですね。
のんびりしていて心が洗われます。
今年初のセミの鳴き声を聞いたような気がしました。
posted by Aorta at 10:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 観察じゃない日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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