2006年06月06日

銃とチョコレートとセファリック

406270580X銃とチョコレート
乙一
講談社 2006-05-31




出版社/著者からの内容紹介
少年リンツの住む国で富豪の家から金貨や宝石が盗まれる事件が多発。現場に残されているカードに書かれていた【GODIVA】の文字は泥棒の名前として国民に定着した。その怪盗ゴディバに挑戦する探偵ロイズは子どもたちのヒーローだ。ある日リンツは、父の形見の聖書の中から古びた手書きの地図を見つける。その後、新聞記者見習いマルコリーニから、「【GODIVA】カードの裏には風車小屋の絵がえがかれている。」という極秘情報を教えてもらったリンツは、自分が持っている地図が怪盗ゴディバ事件の鍵をにぎるものだと確信する。地図の裏にも風車小屋が描かれていたのだ。リンツは「怪盗の情報に懸賞金!」を出すという探偵ロイズに知らせるべく手紙を出したが……。

やっぱり乙一は乙一でした。

子ども向けの本を書いてもやっぱり乙一でした。

読み始めは、「ちょっと子ども向け過ぎないか?」と思わせておいて、読み終わりには、「ほんとにこれは子ども向けか?」と思わせる。

まさに乙一です。

一瞬でも乙一の才能を疑った自分が恥ずかしいです。

物語の初めは、むかし読んだ江戸川乱歩の『少年探偵団』やモーリスルブランの『ルパン』シリーズ、コナンドイルの『シャーロックホームズ』シリーズみたいな感じだったんですよ。

その雰囲気に見事に騙されてしまいました。

やっぱり乙一でも子ども向けの本を書くとこうなるのかぁとちょっとがっかりしながら読んでいたのです。

でも、そのがっかりも見事に裏切られました。

中盤から乙一らしさが随所に出てきて、ラストはバッチリ乙一でした。

ドゥバイヨルといういじめっ子キャラが出てくるのですが、そいつが主人公を罵るセリフが見事に乙一らしくて、思わず笑ってしまいました。

特に266ページの「うっせぇ、この水虫小僧!」や「この外反母趾め!」というセリフはまさに乙一です。
特に「外反母趾」は乙一くらいしか罵り言葉には使わないでしょう。

とまぁ、どうでもいい話はこれくらいにしておいて。


ラストはうまくやられちゃいました。
やっぱり乙一はミステリの才能も十二分にありますね。

一回、乙一テイストをフルに出したバリバリのミステリを書いて欲しいものです。

それにしても、ラストの展開はちょっとはやすぎるんじゃないでしょうか。
小生が読んでいても、着いて行くのがやっとくらいだったのに、子どもが読んでもちゃんと理解できるんでしょうか。
伏線もいっぱい張られていますし、途中から子ども向けに書いてるのか大人向けに書いてるのかよくわかんなくなってますね。

とは言え、この本はぜひ子どもにも読んで欲しいです。
何が全で何が悪なのか、そういう善悪の基準がいかにあやふやなものかということを知るにはとてもいい本だと思います。
善悪がめまぐるしく変わって、しかもそれをいわゆる大衆がちゃんと評価できていない、ということはよくあることです。
そういうことを、子どもにはこの本で学んで欲しいと思います。

いや、そんなに難しく考えなくても、エンターテイメントとして楽しんだらそれで十分なんですけどね。

2100円となかなか高いお買い物でしたが、それだけの価値はあったと思います。
装丁にも凝っていて、本棚においているだけでなんとなくおしゃれですしね。
ぜひ一家に一冊置いておきたい本です。
posted by Aorta at 22:50| Comment(4) | TrackBack(3) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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